山籠り

2021.09.21

道の背中の曲がったとこの

ぼたぼた雨どんぐり雨の

降るところから

星ヶ山の顔が

一瞬見える

 

今朝は霧がかっている、

よく晴れている

などと日々

ごきげんをうかがう

 

その巓に続く道を

わたしは知らないが

 

仙人草の満開のうちに 

葛の花の散らぬうちに 

山籠りの支度としよう

 

開き放した引き戸を閉めると

満天の星明かりがいっぺんに

消え入るように

虫の鳴く声は麓より

吸い込まれて

 

いまはもう

山の腹の

虚の中