⾚の放て空

2021.08.22

ふゆとはるとを引き摺るわたしに

夏が伴⾛するから駆けてこいよと

先に⾛りだす

 

ひとりひとりと浜から⼈がいなくなって

気がつけばわたし⼀⼈だ

堅固な⽪膚をした岩の腹は抉られて

剥き出しの⾚だ

柔らかい溶岩⽯の灼熱の⾊を秘めている

 

幾晩か前に

明るい闇だと⽉を⾒上げたきみを

この浜に置いてきた

 

空に何度も謝ったけれど

きみには邪険にさよならを告げた