肉の行方

2022.07.14

岬は身を削り

からだの肉を

削ぎ落とされて

 

その肉片はどこか

この地の名さえ知らない人々の

家の垣や碑や彫刻になり

墓となる

 

とれたての魚の身が

びくびくと痙攣するように

粉砕され

散り散りになった半島の肉は

どこかの地で

まだ波立っている

 

今朝も早くより

ごおっと低く唸る声

御林の深い森に

相模の底無しの海に

別れを告げる

 

やがて岬は輪郭を消し

いつかはあちこちの

無数の石ころになる