日時計
2022.03.18
東経一三九度〇八分三四秒
北緯三五度〇九分〇八秒
海抜五十メートル(地上)
にいる朝だ
校舎の時計よりいつもひとまわり遅いのは
きみがきみの世界を周る太陽としての速度
みんな大きさの違う星に生きている
わたしの掌の地平線より
きみはのぼったあとに
青銅の古い日時計は
静かに
回り始める
その鶏冠の影が九時に示す場所の反対側
昭和基地とキャンベラの間に在る方角を
わたしは想像する
同じ日課があと何遍
繰り返されるのだろう
名も知らないたくさんの惑星が
いつかどこかで線を結ぶように
きみの時計の針が
この地に影を伸ばすのは
あと何日
何年
何世紀後だ
ここに登る太陽は
昼も夜も忘れ
一ミリたりとも
角度を変えないでいる