長坂レクイエム

2022.02.17

にんげんを投げ捨てた塵たちが

海へと向かって駆け下りてゆく

 

星ヶ山からの吹きおろしの風に捕まり

躓きながら

岩の谷を一斉に転がり落ちる

 

過ぎ去った者たちの無数の霊魂

方向性のない浮遊系

 

波の背に乗る明るい小舟になって

海原より遠く旅立ってゆく

悪の名で呼ばれるままに

無頼者よ

 

これはあらゆる塵への礼讃

水無川に乾いた

長い長いこころへの

鎮魂歌