鉛の⽊

2021.12.19

誰の⾝にも

鉛のような⽯がひとつ

うずまっている

 

⾁の間にねじこむように

⼤なり⼩なりの

⿊の物体が

握って開かない⾚ん坊の拳のように

決して剥がれない塊となっている

 

けれども朝のすこし遅い時間になると

その滑らかな素肌を太陽が撫でて

銀に光って⾒えることもある

 

たいせつに握られた握り⽅の形

体に蓄積する重⾦属の

その根だけが持つ

唯⼀の形だ