ホラホラの⽊

2021.12.19

⼈々の祈りのちいさな呟きが

幾千の葉裏の蔭に⽿澄まされて

湿った薄暗い⼟の中に浸み込んでゆく

 

⼭の神々は森の地下道をくぐり抜け

海の襞にそっと⾜を浸す

 

ほら、

ほらほら、ほう、と

⽊の根がついには謡うようになった

 

深く沈黙を湛えるうちに

⾳にならない声がいつの間にか

体の表⾯に浮かび上がる

形となって現れる

 

ほら、

ホラホラの⽊